「うーん……クッキー…いや、コーヒーリキュールという手も……」





はお菓子雑誌を見て呟いた。


バレンタインなんか、そう思ったが、本屋に飽きるほど並ぶ雑誌には勝てなかった。


きまぐれだと自分に言い聞かせ、また一枚ページをめくる。






どうせ、形而はたくさんの女からチョコをもらうんだろうな、などと考えながら。








「何見てるんだい?」




「うわっ!?」












































< sweet day >














































後ろから覗き込まれ、は持っていた本を思い切り閉じた。






「きょっ、形而!? なんでもっ、なんでもない!!」


「隠されると余計気になっちゃうな。見せてよw」


「いーやー!!!」



は本を持って部屋の隅へ逃げた。






「形而は見ちゃ駄目!」



「ていうか、表紙見えてるよ?」



「へっ?」





抱えた腕の隙間からは、『バレンタイン』や『チョコ』などの文字が思い切り見えていた。





「うわぁぁぁっ!?」


「オレにくれるのかい? のチョコw」




にこっと笑う形而。

は悔しそうな顔を赤くして、やがて呟いた。





「…そだよ!!///」


「何でそんなに投げやりなんだい?」


「14日まで内緒のつもりだったの!!!」


「そう。ごめんね?」


「〜〜〜〜〜〜〜っ///」







そんな顔で謝られたら、



何も言えないんですケド。








「…もぅ、バレちゃったら仕方ないよね。形而はどんなチョコが欲しい?」


「それはが決めてくれるかい?」


「いいけど……何でもいいの?」







が悩んで、頑張って作ったチョコが欲しいんだ。その間、はオレの事だけ考えてくれるだろう?」








形而はが持っていた本を取り、ぱらぱらと見始めた。





「………」



「どんなのくれるのかな〜  !」





は思わず、形而に抱きついた。





「…?」


「どうしてそんな事言うの?」


「え?」





「形而は…あたし以外にもいっぱい、チョコくれる人いるでしょう?」








抱きつく腕に力が入る。






お願い。



頷かないで。










「……そうだね」



「!」








あぁ、やっぱり。


そう思い、はゆっくりと腕を解いた。







「…






そのの身体を、今度は形而が引き寄せた。







「形而…!?///」


「くれる人は、沢山いるよ? だけど、誰のも貰わない」


「!」









「オレは、のチョコしかいらない」






「きょぅ…じ……///」















ゆっくり、唇が重なる。










チョコより早く、



心が溶けていく―――。














































end.







■あとがき■


なんと珍しくバレンタインに間に合いました。奇跡です。

愛しの晋様からお受けしたこのキリリク。

『鏡サンの甘夢』……


バレンタインしかない!!!!!!


丁度いい時期に被りましたね!

これっきゃないと思いましたね!!

それで出来上がったのはこんな駄目夢なんですが↓↓

できるだけ甘く!! 頑張ってみましたが……


どうなのでしょう。(汗)