その日、
団員が皆思った事。
――彼女に酒を飲ませてはいけない。
<またたび>
団員全員で仕事を終えた後、彼らは必ずアジトにて宴会を始める。
始めはシャンパンを片手に戦利品を眺めるなど優雅なものだが、決まってウボォーが自室から強い酒を持ち出し、最終的に宴会になってしまう。
「おい! も飲めよ!」
ウボォーはに瓶ごと酒を手渡そうとする。
「私お酒なんか飲んだ事なくて…だいたい私未成年だか」
「何だぁ? オレの酒が飲めねぇだとぉ!?」
「ごっ、ごめんなさい…っ」
「ウボォー、を困らせるんじゃないよ」
瓦礫の上で、空になったグラスを片手に泳がせながら、フェイタンはその様子を見下ろしていた。
「飲みたくないものを無理に飲む必要は皆無よ。、無視するね」
「飲みたくねぇとは言ってねぇだろ!」
「お前かなり酔てるよ。聞こえなかたんじゃないか?」
「んだと!?」
「や、やめてよっ! 飲む、飲みますから!!」
そう言って、はウボォーが持っていた酒瓶を奪い、一気に飲み干した。
「お、おいっ! それは一番強ぇ酒…!!」
「お前に何飲ませるか!」
フェイタンは瓦礫から飛び下り、の元へ駆け寄る。
「、大丈夫か? 気持ち悪くないか?」
「〜〜……へへ…らいじょーぶらよっ☆」
「!?」
明らかに呂律の回ってない口調の後、いきなりはフェイタンにキスをした。
「えへへぇ〜w」
皆が呆然とする中、かなり赤い顔をしては微笑んだ。
「!? 何して…ッ !!//////」
声をかけたシャルだが、次の瞬間にはに唇を奪われていた。
「あはははっ♪ 皆変な顔〜w」
「…お前誰にでもそんな事していい訳じゃないんだぞ」
優しくなだめようとするクロロ。
「……」
「な、何だ…////」
今度はすぐにキスをするわけではなく、じーっと潤んだ瞳で見上げた。
「…おじしゃまのお話は聞かないのらっ」
「おじ……っっ !!」
クロロの言葉を遮るように、は背伸びしてクロロの頬にキスをした。
「えへへ〜☆」
すぐに離れて広場を走り回る。
「団長…平気?」
マチが呆れたような口調で言うと、クロロは
「…おじ様もいいかな」
「は…?」
キスをされた頬をさすりながら、クロロはすごい爽やかに微笑んでいた。
マチはそれを見てすごい引いた目をしていた。
「あっれぇ〜? 皆もぉ飲まないの〜? それなら、わらし全部飲んじゃうよぉ〜?」
「……」
「おぅっ?」
は後ろから服を引っ張られ、空ろな瞳で振り返る。
そこにはやっと放心状態から帰還したフェイタンの姿。
その顔は怒りに満ちている。
「ふぇいたん…どーしたの?」
「……」
「んむぅっ」
フェイタンはをぐいっと引っ張り、強引に口付ける。
「んぁ…っ…ふぇ…い…っ!?//////」
その場に音が響くほど、深く、強く。
「…んぅ……」
唇が離れた瞬間、は力を無くしその場にひざを着いた。
「ど、どうしたんだ…?//////」
「ワタシが拷問の時に使う、特殊なマタタビ酒を飲ませたよ。しばらくは足腰立たなくなるね」
フェイタンはを背負うと、広場を後にした。
「、すごかった…な…」
「初めてみた//////」
「…ちょっと、シャルったらまだ放心してるよ? 情けない」
「くっくっく…団長も、違う方向に目覚めそうだねェ☆」
「だ、団長っ! おじ様はやめてくれよっ!?」
「何故だ!? の前ではジェントルでもいいだろう!」
「うわ、逆キレしちゃったよ」
男性陣が赤い顔をしているのを見て、女性陣は重い溜め息を吐いた。
「んぅ〜……」
まだ頬の色が落ちつかないをひざに寝かして、フェイタンは自室のソファーにもたれていた。
「…お前のあんな姿、何故他の男に見せねばいけないか?」
フェイタンはの前髪を撫で、その寝顔をじっくり堪能した。
しかし、その脳裏に、さっきが他の男にキスをしている光景を思い出し、機嫌が悪くなる。
「……」
眠っているに何度もキスし、それでも起きないを見てまた微笑む。
「…ワタシはに酔わされるよ」
貴女は、またたび。
end.