「ちょいとそこの娘っ子、お待ちな!!」




「娘っ子……?」



変なもんに掴まった、そう思いながらもは振り向く。










「お主……憑かれておるよ



「え、疲れてますが



「ちゃうわいっ、憑かれとるんじゃ!!」











なんか憑かれたらしい。


























<その気持ち>



























「で、それがどうしたね」



仮宿に帰り、広場にいたフェイタンに話を聞いてもらっていた








「それがさー、最初に言ってきたバアサンは速攻殺したんだけどー…」



は頭を掻きながら言う。





「街ん中歩いてたら、いろんな人が見てくんの!! それもうさんくさい占い師ばっかり!!!」





「……で、そいつ誰ね」



「その内の一匹」



の後ろには、占い師の老婆が一人。






「だっていい加減気味悪いじゃん? 除霊でもしてもらおうと思って適当に引っ掛けてきた」



「適当はいいけど、その後どうするか」



「殺すけど」



「なっ……無理矢理引っ張っといてそれかいっ! 最近の若いもんは……」





後ろでぶつぶつと言う老婆。






「まぁ何でもいいじゃん。人生最後の仕事だと思って、ホレ」



「た、態度のでかい娘じゃのう……」



老婆は冷や汗をかきながらも、の斜め上をじっと見つめた。







「とんでもない悪霊じゃ。お前、完璧に憑かれておる。簡単に離りゃぁせんぞ」



「うっわダル。じゃぁとっとと除霊しちゃってよ」



「ええい、次から次へと…少し待てんのか……って、うむ?」




急に顔色を変える老婆。






「…ふむふむ……なるほどのう…お主も大変じゃなぁ…」



「だ、誰と話してんのよ……」



「誰って、お前に憑いてる霊じゃよ」



「…は?」








「お前が妙に強く恐ろしいから、悪霊も悪さできずに泣いとるわ。しかも自身がなまじ強い霊じゃから、他の悪霊もおいそれと近付けん事をいい事に、お前は気付かぬ内にこの悪霊を盾代わりにして無理矢理束縛しておるんじゃよ。…かわいそうになぁ




老婆が嘆く声と、フェイタンの嘲笑う声が同時に聞こえ、は ばっとフェイタンを振り向く。







「……フェイタン?」



「ワ、ワタシ何も笑てないね。が何故怒てるのか解らないよ」




殺気立つに、フェイタンは軽く冷や汗を浮かべながら弁解する。









「ていうかこんな霊いらん……そしてお前等ぶっ殺す!!」



どこから取り出したのか、は大鎌を持って二人を追い掛け回した。





「私を馬鹿にしやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」




うっすらと、その瞳に涙を浮かべつつ。


















「だぁっ!! 逃がした!!!」



数分後、老婆は何処かに逃げ果せたようで、姿が消えていた。







「あれだけ暴れてたら見逃すに決まてるね。ワタシ老婆が10分前にどさくさに紛れて逃げてくのちゃんと見たよ」



「だったら言ってよ!! そう言えば途中からアンタしか追いかけてなかったわ!!!」



「少ない余生ね。適当に楽しませてやるよ」



「うわ、フェイタンにそんなセリフ似合わない!!!」







その瞬間、何故かフェイタンはの上に組み敷いた。










「……な、何してるんですか」



「こうでもしないとは止まらないね」




広場の真ん中で、ものすごい体制で沈黙する二人。





「悪霊も何処かに逃げたみたいね。場の霊圧が無くなてるよ」


「霊圧なんか解るの?」



「なんとなく、ね」




会話を続けても、フェイタンはから降りる気配を見せない。









「…いつまで押し倒してるつもり? どいてよ」



「こんな機会滅多に無いね。今のうちに楽しんでおくよ」



「何それ……  !!」









ゆっくりと二人の吐息が重なり、






「……!!!」









フェイタンはと唇を重ねた。















「悪霊より、ワタシの方がを守れるていう事ね」




フェイタンのセリフに、は目を見開いて硬直していた。










「フェイタンってさ、言葉足らずだよね」


「どういう意味か?」









「一番聞きたいセリフだけ、抜けてるって事」










「…はワタシに何て言てほしいか?」





「……フェイタンから先に言ってもらわなきゃ。私は言わないもんね」






は人差し指を口の前で立て、微笑んだ。













「女は秘密が多い方が華なの」







































だけどいつの日か、









その気持ちの意味を気付いた君に










その気持ちを伝える行動を知っている君に



















その気持ちを言葉で伝えて欲しい。


















end.