「……暑い」
「そうか?」
フェイタンは上を脱ぎ、うちわでを扇ぎながら言った。
「フェイタンは男だからいいよね。上半身裸でも」
「…? も脱げばいい事ね」
すると、うちわを放り投げ、素早くTシャツの下に手を潜りこませるフェイタン。
「な…////// にしてんの、もぅっ!!!」
とっさの所でフェイタンの腕を掴む。
「何て…脱がせようとしただけね」
「勝手に脱がせようとしないでよッ//////」
はフェイタンの手を引き抜くと、さっき投げられたうちわを取りに行った。
「……フェイタン、海行こ!!」
「急に何か?」
は振り向いて言うフェイタンに、うちわの広告面を見せた。
――夏は海!! 『海水浴観光事務局』――
「ね!! この近くにも海あるし、歩いていけるじゃん!! 行こうよ〜っ」
「…仕様がない奴ね」
「やった!!」
<フレッシュサマー>
「うーーーーみーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
海に着いて早々、はどこまでも青いそれに向かって叫んだ。
「…はしゃぎ過ぎよ…… !」
フェイタンが横目で見ると、はそこで着替え始めていた。
「…何やてるか」
「え、ちゃんと中に水着着てるよ!!」
「…ちゃんと更衣室で着替えるね」
そう言って、フェイタンはを更衣室に放り込み、に渡されたパラソルを浜辺に立てに行った。
「やっほぉ☆」
後ろからの声がし、フェイタンは振り返る。
「!」
「えへへw どう? 似合うカナ〜?//////」
は真っ白なビキニを着てそこに立っていた。
「……いいんじゃないか?」
「〜〜またそんな投げやりな……って、やっぱフェイタン見てて暑苦しい」
フェイタンはというもの、いつもの服装では周りの目に悪い(暑苦しくて)と思い、上に黒のTシャツを着させたが、やっぱり黒づくめの服装は見てて暑苦しい。
「まぁいいや、泳ごっ」
「ワタシもか…?」
「え、泳がないの?」
「一人で行けばいいね」
「ふーん……行っていいわけ?」
「何が言いたいか?」
「……いいもんっ、一人で泳いで来るから!」
はフェイタンの元から離れ、一直線に海へ歩き出す。
「ねぇ彼女、一人? 一緒に遊ぼうよw」
「昼食べた? 良かったら俺と…w」
「ねぇねぇ、一緒に泳がない?」
「うるさいなぁ、あっち行って」
歩くたびに増えていく男の数。
「……」
それを見ていたフェイタンは堪らなくなって、の腕を引いた。
「うわっ、どっから沸いてきたんだこのチビ…っ !!」
瞬間、男の首が飛ぶ。
「う、うわぁぁぁぁっっ!!!」
それを目の当たりにした周りの男たちも、海水浴客も、みんな慌てふためき、狂気に刈られる。
「あぁあ。また面倒な事して…」
は溜め息と共に言葉を吐き出す。
「他の男がに触るの、許せないね」
「あ、チビって言われた事に怒ったんじゃなく?」
「………」
瞬間、フェイタンのオーラの量が跳ね上がる。
「ご、ごめんって冗談だって; …だから言ったでしょ? 『行っていいわけ?』って」
「…良く無かたね」
フェイタンは掴んでいたの腕を離す。
「……」
「!」
今度はそのフェイタンの手を、は握った。
「…そう言えば…こんな明るい内からフェイタンの顔、ちゃんと見るの初めてだよね?」
「夜は毎日見られてるね」
「う、うん…////// だから、何か新鮮」
「ワタシも、の水着姿初めて見たよ」
「下着姿は、毎日見られてるけどね?//////」
「の全てを見ていいのは、ワタシだけね」
互いが互いの新しい面を見て、
新しい互いを知っていって、
その全てを互いにしか見せない。
それが二人のルール。
「なーんか騒がしいと思ったら…一人殺しちゃってたんだったね」
「面倒は御免よ。ささと帰るね」
「…自分で殺っといて……;」
今年の夏は、
たくさん、新しいものを見つけていこう?
今日は二人の、フレッシュサマーデイ。
end.