しとしとと雨が降る。
「これじゃ外行けないねぇ…」
隣にいる少女の表情は暗い。
「仕方ないね。晴れた日に行けばいいよ」
「うん……そうだね。じゃぁ、今日は一日中のんびりしよっかv」
途端、明るくなる少女――。
その表情が、愛しい。
<日がな一日>
は昼食を作りに台所へ向かった。
フェイタンはその後ろ姿を見送り、縁側で雨に濡れる庭を眺めていた。
「………」
今日は、街へ買い物に行くはずだった。
それが突然の雨でやむなく中止になってしまい、フェイタンも少し気兼ねしていた。
「フェイタン、できたよー」
台所から聞こえる声に、フェイタンは腰を上げた。
「今行くね」
「ごめんね、あんまり材料無くて、有り合わせのもので作ったんだけど…」
今日は、昼を外で食べるつもりだったのだ。
「…の料理なら何でもいいよ」
フェイタンは暖かな食事に箸をのばしながら言う。
「……今日、雨で残念だたね」
「ん?」
「…楽しみにしていたよ…」
「…でも、フェイタンが来てくれたし」
はこの広い屋敷に一人で住んでいる。
人里離れた山中にある屋敷は、あまり人と接する事はない。
フェイタンは雨にも関わらず、その屋敷までやってきたのだった。
「外に出るのも好きだけど…私は、フェイタンがいればそれだけで充分だよ」
いつもと同じ、綺麗な笑みでフェイタンを見つめる。
「…ワタシは、に会いたくて来ただけね。…雨なんか関係無いよ」
恥ずかしいのか、少し視線を逸らしながら言うフェイタン。
「…そっか/// …有難う、ね///」
有り合わせの食事でも、
の気持ちと、笑顔があれば、
そんな事を、フェイタンは何処かで感じていた。
「あ、雨やんだね?」
昼食の片付けをし、また縁側に出てきた二人。
「フェイタン、庭が雨で光ってるよ。綺麗だねぇ…」
「…今から買い物行くか?」
「ううん。……今日は、二人でのんびりするって決めたのvv」
縁側に座り、何をするわけでも無く庭を眺める二人。
それでも、そんな時間が、二人にはとても大切で。
「…」
ふと隣を見ると、はウトウトと眠り始めていた。
「……」
フェイタンはの肩を引き寄せ、自分にもたれさせた。
「……ワタシも…」
呟くように、言葉を発する。
「…ワタシも、が居れば…それでいいね」
そう言って、自分も瞳を閉じた。
引き寄せた肩に乗せた手は離れない。
ずっと側にいる、と言うかのように。
大事なのは、
そこに君がいるコト。
end.