「…37℃」
「…………」
「…何、フェイタン風邪なんて引けたの?」
「……どういう意味か」
<ビネツo>
「だってフェイタンが赤い顔してベッドに横たわっているなんて…考えもしなかったわけだし」
はフェイタンの額に濡れタオルを乗せながら言う。
「ハ、ワタシだて風邪の一つや二つ…」
「別に自慢する事じゃないよね」
「………」
フェイタンはやけにトゲのある言い方をするに違和感を感じた。
「…?」
「…なんて…」
「?」
「私なんて庇わなくて良かったのに…っ」
は勢いよく部屋を出て行った。
「……」
そう、フェイタンがこうなったのは、を庇ったせいなのだ。
「うっわー、高いねぇ」
仕事を終え、帰り道の山の中、見事な絶景が広がる。
崖から見下ろす滝壷は、月灯りの元、神秘的に輝いていた。
「、そんな端に行たら危ないね」
「平気平気!! …って」
思い切り振り返った瞬間、の身体は崖下のほうへ大きく傾いていた。
「う、うあぁぁっ」
「!!」
フェイタンはの手を思い切り引き、を崖の上まで突き出す。
「フェ、フェイタン!」
そしてその反動で、自分が滝へ落ちたのだった。
「………」
フェイタンは熱でフラフラしながら、を追おうとベッドから起き上がった。
「あぁっ!? フェイタン、起きちゃ駄目でしょ!!」
途端、入口から響いた声に、フェイタンの動きが止まる。だ。
「…薬を取りに行っただけだよ。…八つ当たりしてごめんね」
少し赤い顔をしながら、は扉を閉めた。
「…はい、これ飲んで」
は水と薬を用意し、フェイタンに渡した。
「………」
「どうしたの?」
「口移しで飲ませて欲しいよ」
「はぁっ!?//////」
「…駄目か?」
「〜〜〜…//////」
は少し抵抗を見せたが、やがて口に薬と水を含んだ。
「……」
「……」
沈黙と共に、はフェイタンの顔に近づき、
「!」
フェイタンは ぐいっとの顔を引き寄せ、深くキスをした。
「……ふ…ぅ……っ//////」
互いの口を、水が滴り落ちていく。
「も、ぉ……何してんの!!///」
「薬なら飲んだよ」
「そういう問題じゃなくてぇ!!///」
依然赤い顔のままなを見て、フェイタンは起き上がり、もう一度キスをした。
「ん…っ//////」
絡みつくフェイタンの熱で、身体が熱くなる。
「ふぁ…///」
は立っていられなくなり、フェイタンの腕の中に倒れた。
「……キスくらいでこんなになてたら、ワタシこれ以上手出せないね…」
「へ…?」
ぼそっと呟いたフェイタンの言葉を、は聞こえていなかったようだ。
「…何でも無いね」
フェイタンは、の耳元で囁く。
「風邪の直し方、知てるか?」
「な、何それ…?」
「人に移すといいらしいよ」
「!」
言って、速攻をベッドに押し倒すフェイタン。
そしてただ、幾度となくキスを交わし続けた。
欲望と理性の狭間で、それでもを求めるように。
end.