解ってた。




ホントは…ホントに解ってたんだよ?








あなたは、私が勝手に想い描いてたあなたじゃないって事…










解ってた、はずなのに、なぁ…















































< 霞めど消ゆるこの想い >



















































あなたとは、つねに距離があった。



距離を置かれていた。





「…ねぇフェイタン。明日…仕事だよね」


「そうね」


「…そっか」





踏み入ってはいけない領域があった。


踏み越えてはいけない境界があった。





「また、一日かかる?」


「解らないよ」


「そ、そだよねっ」





必死の笑顔。



何も返って来ない、無駄な、








あなたはひどく干渉を嫌うから。







側に居れるだけでも、奇跡なんだから。








何も言いません。


あなたが嫌う事は何もしません。


ただ側にいてください。







…それだけなんです。













































「――…光焦がし目映く 照らすは粉雪…」





月夜の元、響く歌声。




「――…心に降り積もりし 孤独は望み…」






「!」




はっとして振り返る。


そこには、フェイタン。





「…どうしたの? 外は寒いでしょう」


こそこんな真夜中に一人で何してるね」


「唄ってるだけよ。…何でもいいじゃない」



干渉を嫌うあなたが、初めて、私を気にかけた。






「…それもそうね」





その時から、きっと。


嫌な予感は始まっていたんだろう。















「――…行かないで この手が君に届くのなら


   待つ事も 悲しみの中辿り着く 答えだから…」






フェイタンの居なくなった場所で歌う唄。







「――…風に吹かれ 祈るの…」






あなたを想う…純愛恋歌。















































あなたに出会ったのは、もう半年も前になる。





『……』

『……』




何も言えなかった。


だって、急に目の前に…あなたはいたから。


目を奪われて…ただただ頬が熱くなるのを感じていた。





『お前…こんな所で何してるね』




怪訝そうな顔さえ、私には嬉しくて。


つい…勢いで言ったよね。






『側に…いさせて…』






どうして、あなたは私を拾ってくれたんだろう。


気まぐれ?


…だよね。





事情は聞かれなかった。


ただ存在を受け入れられた。


だけどそれは逆に拒絶だ。






だって聞かれなきゃ、聞けないから。






…ねぇフェイタン。私、あなたの事いろいろ知ってるんだよ。


漫画だって全巻持ってるし。


あなたを夢にまで見てた。





優しいあなた。照れてるあなた。拗ねてるあなた。




実際は違う、都合のいいあなたを想い描いて。






知らないでしょう?






本当のあなたは冷ややかで、温度がなくて。


だけどどこか…暖かい気がするの。気のせいかも、だけど。






そんなホントのあなたを知っても…私はあなたが好きなんだよ。




だけど…だけど…







同じくらい、ホントのあなたは怖いんだ…。



























































「あの唄、何ていうか?」




急に、フェイタンは口を開いた。


仕事に出る途端の事だった。





「ど、どうしたの? 急に…」


「…もう一度、の唄聞きたくなただけね」



そのままふいっと背を向け、部屋を出ようとするフェイタン。






「……――純愛恋歌」






私の声に、フェイタンは動きを止めた。




「愛しい人を想って唄う…そんな唄」


「…やぱりか」


「え…?」





「…解てたよ」





そう言って振り向くフェイタンの瞳は、


とても、冷ややかで。





「私が…フェイタンを好きな事?」


「……」




フェイタンは、ゆっくり頷いた。






頭が真っ白になる。


だけど、頬は染まらない。逆に血の気が引いていく。






解ってるんだ。美味しい展開になんかなるはずがない。



この後のセリフを…私は知っている。










「……もう、帰て来ないね」









はっとして顔を上げても、


「フェイ…っ」





もうそこに、フェイタンはいなかった。




「……」





聞きたいと言ってくれた、私の唄を聞く事も無く。


余韻を残す事も無く。








解ってた。


解って、たよ…?





あなたは、私が想い描いてたあなたじゃない。




文字で綴れる様な…言葉で語れるような…



あなたじゃない事を。













「……光焦がし目映く……照らすは…粉雪…」





ぽたぽたと。



涙が落ちる。





「……こ、ころに…降り積もりし……孤独は、望み……っ」





望んで何か、ない。


だって、


だってホントは…





ずっと側に居て欲しかった。






「…行かないで……この手が君に届く、のなら…」





もう、届かない。





「…待つ事も…悲しみの中、辿り着く…こた、ぇ…だから……」





待つ事は、辛すぎた。





「……風に吹かれ……」





もう、







「祈る、の…………」









あなたには、会えない。



























どれ程唄を歌っても。















あなたに、




純愛恋歌(このおもい)』は届かない。





































end.








■あとがき■



リアルシリーズ第一弾。((続くかは解らない;


ホントのフェイタンって想われると拒否しそうだなーと思いまして。


むしろ「そんな感情持ち合わせてないね」とか言われそうな気がしますが;


ちなみにヒロイン、ハンター世界にトリップしてきたという設定なのですが、(絶対解りにくい)




あの後どうするんだろね。((ぉぃ




放置ぷれぃ続行中でしょう。うん。




…お疲れサマです!!((ぇ




ほんで、初のMIDI小説というわけですが!


素晴らしい曲ばかりの中から厳選してこちらになりました。


…なんか今日本語変だったような。。


とにかく、これからもちょくちょくMIDI小説書けたらなーと思っています。


それではこの辺で。拝。