あなたとあたしはあまのじゃく。
最後に残るは、甘いコトバ。
<あまのじゃく>
「ねぇフィンクス…フェイタン、最近元気なくない?」
「そ、そうか? 別に何とも思わねぇけどよ…」
(言えるワケねぇ…フェイがのこと好きだからなんて…)
同時刻。
「最近、の様子おかしいよ。パク、何か知らないか?」
「…さぁ…特に何も思わないけど…」
(言えないわよ…がフェイタンのこと好きだからなんて…)
フィンクス・パクノダは、互いにフェイタン・から相談を受けていた。
「フェイタン…ね…? あたし、す、好き、みたいなの……//////」
「ワタシ、に恋愛感情があるみたいよ」
そして二人は恐ろしい。
「誰かに…ましてや本人に言ったら、マジぶっ殺すからw」
「他言無用よ。…もしに言たら、お前生き長らえると思わないことね」
…本気の発言だ。
フィンクスとパクノダはその時の恐怖を鮮明に覚えている。
元から誰に言おうとも思わなかったが、これでは誰かと会話するのも冷や汗ものだ。
「フェイタンなんか知らないっ!!」
「お前なんかどうでもいいよ」
だけど二人はあまのじゃく。
互いを前にすると、なかなか素直になれない。
「フェイタンに“どうでもいい”って言われたぁ〜〜〜っっっ」
「に“知らない”言われたね……」
フィンクスとパクノダは心労溜まりまくり。
さてさてどうしたものでしょう。
「はぁ…疲れるわ…」
「オレも……」
実は、二人は互いの心労を知っている。
「このままだと私達、ストレス死するかもね」
「んな、かっこ悪い死に方…っ、オレは嫌だぞ!?」
「心配しないで。…私に考えがあるわ――」
「ワタシどうしたらいいか解らないよ」
いつも通り、フィンクスに相談するフェイタン。
計画では、パクノダがここにを来させるはず…。
(まだ来ねぇのかよ…っ おっ)
フィンクスは視界の隅に人影をとらえると、作戦を開始した。
「にしても、お前がのこと好きなんてな! まだ信じられねぇぜ!」
声を上げて言うが……
「…そうだったの?」
そこにいるのは、マチ。
「あれ? みんな何してんの〜?」
はその直後現れた。
「っっっっ!!!!!」
フィンクスの顔が引きつるのと、フェイタンが殺気を漂わせたのは同時だった。
「わ、悪かったって!」
ぼこぼこにされたフィンクスは、自室でマチに手当てしてもらいながら言う。
「あたし、そういうのに興味ないから。気にしなくていいけど」
「そういう問題じゃないね」
フェイからはまだ怒りのオーラ。
「じゃ、じゃぁよ! 広場行ってみろって! いいもん見れるから! な!?」
フィンクスは半ば強引にフェイタンを部屋から追い出した。
「…今度は何するつもりなわけ?」
「……逆バージョン…」
「……失敗に一票」
「ふ、不吉な事言うな! …っててて…」
「もう駄目だぁ……あたしもう駄目なのよぉ〜……」
「ちょっと落ち着きなさい、」
の相談を受けながら、パクノダはフィンクスが寄越すはずのフェイタンを待っていた。
「そう落ち込むものじゃないわ。いつもの元気はどうしたの?(まだ来ないのかしら… あ!)」
パクノダは視界の端に人影を捕らえ、行動に移す。
「でもまさかあなたが、フェイタンの事を好きになるなんて…びっくりしたわ」
その場に響くくらいの声で言ったが……
「え、そうだったの!?」
そこにいるのは、シャルナーク。
「何してるか?」
直後、フェイタンは現れた。
「…パ〜〜ク〜〜ノ〜〜ダ〜〜ぁ……っ」
「ご、ごめんなさいっ、こんなつもりじゃ……」
「どいつもこいつもーー!!!!」
はその場を走り去った。
――屋上。
「はぁ…もう最悪だぁ……」
(シャルには聞かれるしフェイタンとまともに喋れないし……)
「あぁあ、イヤミなくらい夕陽が赤い……」
その時、後ろで扉が開く音がした。
「…、ここにいたか」
「フェイタンっ!?//////」
「…パクノダから預かてきたよ」
そう言ってフェイタンが差し出したのは紙切れ。
はそれをそっと開いた。
―――、ごめんなさい。
でもこれだけは言わせて?
素直にならなきゃ、手に入るものさえ掴めないのよ?―――
それはパクノダからのメッセージだった。
「……」
「ワタシもう行くよ」
「待って」
はフェイタンを引き止める。
「フェイタン、あたしのこと嫌いでしょ」
「…いきなり何か?」
「答えてよっ!! …嫌い……?」
「……普通ね」
直後、扉の閉まる音が響いた。
「逃げること、ないじゃん……」
大粒の涙が、溢れて止まらなかった。
(何故ワタシがこんなムカツかなくてはならないね)
(イライラするよ)
―――嫌い……?
(そんなわけないね)
(言えるわけないよ……)
(言える、わけ……)
「……」
途端、足を止めるフェイタン。
そして一度舌打ちをし、光速で階段を駆け上った。
――ばんっ!
屋上の扉が勢いよく開き、その音にはびくっと振り返る。
「フェ、イ……っ」
「…? 何故泣いてるか?」
「こ、今度は何の用よ」
は背を向けて涙を拭う。
「……」
その後ろ姿を、ぎゅっとフェイタンは抱き締めた。
「!? は、離して!」
「離さないよ」
フェイタンはその腕に力を込める。
「ちょ…やだっ」
「暴れないでそのまま聞くよ」
「ん……っ///」
耳元に、吐息が触れる。
「――好きね」
「!!」
思考が、止まる。
「な、に…言って…//////」
「聞こえなかたか? …好きて言たね」
「ちょ…待って!」
は目線だけ振り返る。
「あんた…恋愛感情あったわけ!?」
「……」
フェイタンは呆れた顔をした後、の唇にそっと口付けた。
「!!」
「ワタシだて、一通りの知識くらい持てるよ」
「…びっくり、した……」
はまた涙を流した。
「もう…一人で泣かなくていいんだよね…?」
「ワタシがいるよ」
「あたし、素直じゃないよ?」
「ワタシだて同じよ」
「また“知らない”ってケンカするかも」
「言わせないよ」
「――……大好き」
素直な言葉が出せなくて
素直な気持ちが言えなくて
いつも二人はあまのじゃく
でも、
想いに嘘は、つけない――――
end.