「クロロw いってらっしゃい!」




「あぁ、行ってくる。、大人しくしてるんだぞ」








のマンションから、クロロは蜘蛛のアジトヘ向かった。













「よしっと!」




掃除、洗濯、買い物……









そして、彼女の戦いが始まる。






































<隠し味は…?>








































スーパーの袋を台所に置き、はエプロンをつける。



今日の夕飯はカレーだ。









「……さてと…」



はクロロが残したメモを開く。










「何何〜? …『カレーの作り方。 @間違ってもフライパンを使おうとしない事』……」








普通の人なら、この時点で怒り狂うだろう。




しかし、









「…オッケーです!! じゃぁ、お鍋だね!」








は極端に料理ができない。







以前、カレーをフライパンで作り、よく解らないものができた。


クロロは何も言わず、ただ、『違う…違うんだ……』と頭を抱えて呟いていた。



このメモはその惨劇を繰り返さないようにと、必至に書いたのだろう。




 





「…『Aルーの前に具を炒める。(たまねぎ・にんじん・じゃがいも)』……よし、切るぞ!」





はメモを置くと、隣に置いていたあるブツを取り出した。









「…ん?」




メモに太字で書いてある所を見つけ、は一度手を止める。










「…『注!! 日本刀、使用禁止。料理は包丁で』……」






は手にした日本刀を見つめる。


日本刀を武器とする。クロロは全てお見通しのようだ。







「包丁…? あぁ、あの、短い刀…」





は日本刀を直し、戸棚から包丁を取り出した。









「ほいっと」





そこは刀を扱う者、見事な刀さばきで野菜を切り上げる。











「んで…『Bサイコロ状に切った肉を入れ、水を入れて煮込む』」





は肉と水を入れ、確認のためもう一度メモを見た。







「……『注!! 煮込んでいる内に水が減るが、間違っても放置しないように。ちゃんと足す事。逆に入れすぎ注意』…」







煮込めば水は減るだろう。



そこまで細かく書くのも、ある意味ではクロロの優しさ。










「よし! じゃぁ、目を離さず見ときます!!」




はキッチンに面したリビングのテーブルに座り、鍋の様子を眺め続けた。

































数時間後。









「ん……」




いつの間にか眠ってしまっていたは、焦げ臭い匂いに起きる。









「………あぁっ!!!!」



は慌てて鍋に駆け寄る。








「………あぁ……」






水が無くなり、少々焦げてしまった具を眺め、は涙を堪えた。











「………大丈夫!! 水入れてちょっと煮込んで、ルー入れたら解んないって!!」




はそう叫ぶと、さっそく煮込みだした…










 
























「ただいまー」



「おかえりっw」




は帰宅したクロロに抱きつくと、リビングまで誘導した。








「カレーね、多分美味しくできたよw」



「た、多分……?」






クロロは額に汗を浮かべる。











「はい、どーぞw」




はクロロにカレーを出す。










「…ちゃんと、鍋で作ったんだな?」




見た目は普通にできているカレーを見て、クロロは確認する。







「モチロンです」




「日本刀は?」




「押入れに直しました」






「ちゃんと、煮込んだか?」






「それはどうだろう」











「……」



「……」






クロロは冷や汗を滝のように流す。











「まぁ食べてみてよw」




そう言いつつ自分は食べないのは、何かの予防線なのだろうか…


クロロは嫌な予感を感じつつも、カレーを口に運んだ。









「!!」





「どうッ!?」








「……こう…口の中で、原型を失った玉ねぎがトロトロに溶けたものがさらにドロっとし、さらに肉は本当に動物から取れたのかすら今では解らない臭味を発して…」




「不味いなら不味いと言ってください」







はクロロの言葉に肩を落とす。














「うう〜〜…失敗した〜……」



「…






クロロはスプーンを置き、を抱き締めた。













「きっとが入れた隠し味が強過ぎたんだな」



「え…あたし、特別なもの入れてないよ?」










「入ってるよ。…オレへの想いがね」





「……甘!!!!」





はクロロのセリフに鳥肌を立てる。












「でも……ま、当然入ってますし? 気合入れて!!」




は上目遣いにクロロに微笑み、二人は唇を合わせた。




























その日の夕飯は、当然外食になったのだが。





















end.