は可愛い。
ていうか綺麗//////
だからこそ…オレはアレを忘れていた。
<聖彩ファクリナイズ>
「の念能力って、特質だよね?」
「そうですね。条件を満たす事で発動できます」
「条件って?」
「それは秘密ですw」
に笑顔が戻ってよかった。
彼女が笑ってくれるならそれでいい。
「また秘密かぁ〜」
「シャルが言ったのではないですか。“能力は秘密にするものだ”、と」
「そうだけどさー」
「…シャル、この間の話なのですが…」
「!! そ、それなら今団長に掛け合ってるから!」
この間の話――は蜘蛛の団員に会いたがっていた。
だけどオレとしては、自分の彼女をあまり男の前に出したくないわけで。
本当は団長の方から“会わせろ”といってくる誘いを、何度も断っている。
「それよりさ…その敬語、そろそろやめない?」
「え?」
「ほら、何だかんだあったけど、オレ達付き合って結構経つし、ね?」
「は、はい…」
「はいじゃないでしょ?」
「……うんっ」
今は、その笑顔があるだけで……
――ぴるるる…ぴるるる…
その時、オレの携帯に着信が入った。
――着信『団長』
「……はい」
オレは嫌な予感を感じつつ、電話に出る。
『シャルか? の事なんだが…』
「ッ!!」
ぶちっ。
「あ…ッ…;」
思わず切ってしまい、額から冷や汗が流れる。
「シャル…? どうかしたの?」
「い、いや…何でも――」
「何でも? まさか何でもない、と言うつもりじゃないだろうな?」
「ッ!!!」
びっくりして声の方を振り向くオレと。
「だ…団長ッ!!;」
ガラス戸の開いたベランダには――少し不機嫌そうな団長が、携帯片手に立っていた。
「幸せすぎてオレの気配すら読めなかったのか? 10分前からここにいたぞ?」
「嘘…っ」
「シャル…この方が、団長さん…?」
オレの後ろから顔を出すに、オレは軽く頷く。
「キミがか。…オレが蜘蛛の団長だ。前々からシャルに、キミと会わせろって言ってたんだが…断られたんでね。今日は無理矢理会いに来た」
「あ、あの…私もお会いしたかったんですけど…シャル、掛け合ってくれてるって…」
「……;」
「…ふっ、そういうことか。…悪いが、今アジトにいた全員、連れてこさせてもらった」
「え、全員て……」
ばんっ!!
勢いよく開いた扉からは、ウボォーを先頭に、団員がわらわらと入ってきた。
その様子を見て、オレは頭を抑えてため息をつく。
「なんだぁ? 狭い部屋だなっ」
「二人で暮らす分には丁度いいんじゃないか?」
「ハ、シャルも隅に置けないね」
「全くだな」
「のど渇いた。お茶ないの?」
勝手がってに言いながら、ウボォー・フィンクス・フェイタン・フラン・コルトピが部屋に入ってきた。
は……コルトピの発言に促されて慌ててお茶入れてるし……
「ど、どうぞ…」
決して狭くは無いリビングがぎゅうぎゅうになった頃、はお茶を入れて皆に配って回った。
「あ、あの…本日は、私に会いに来てくださったそうで…わざわざ有難う御座います」
は一礼すると、女神のごとき微笑みを浮かべた。
「!!」
それを見た皆が反応しない事などなく、
「…お前、念は使えるのか?」
まず団長に興味を持たれた事は明らかだった。
「は、はい…一応…」
「系統は?」
「特質です」
「前衛と後衛、どちらのタイプだ?」
「えっと…念だけで言うなら後衛、ですかね。昔、暗殺業をしていたので、前衛もできますけど」
「ほう…どんな念能力か、教えてもらえるか?」
「傷の治癒とか…いろいろできますけど、秘密ですw」
あぁ、またそんな笑顔見せて……
オレがそう思っていた裏腹、団長はやっぱり品定めのような目つきでを見つめていた。
「気に入った。…、蜘蛛に入る気はないか?」
「いいんですか?」
「ま、待って! そんな大事な事、オレ抜きで決めて…」
「駄目かしら…」
「ッ!!」
そ、そんな悲しそうな目で見られたら…//////
「…いいだろう。だったらシャル、オレと組み手をしろ」
「え、えぇッ!?」
「一発でも当てられたらお前の勝ちだ。の入団は諦める。アンテナの使用は禁止だ」
「そ、そんな…オレ一応遠距離タイプなんだけど…;」
「お前がやらないなら、オレがやるぜ?」
「!」
そう言って名乗り出たのはフィンクス。
「な、何言って…」
「だって、すげぇ可愛いじゃねぇか。団長に一発入れられたら、はオレがもらうって事で」
「あぁ? そんなルールあんだったら、オレも参加するぜ!!」
「ウ、ウボォーまで!?」
「面白い事になったな…オレも参加するぞ」
「シャルがその女捜してる間、よく仕事放棄されていたね。腹いせにその女、ワタシの拷問練習に使うよ。…参加するね」
「は!? フランクリン…フェイタンっ!?;」
「…楽しそう」
「ま、まさか、コルトピも参加するなんて言わないよね……って…」
振り返ると、コルトピはシャドーボクシングをしながらこっちを向いて、ん? と呟いた。
「全員参加か…シャルはどうする? 大人しく見ているか?」
「ま、まさか!!! …やるよ」
「シャル…//////」
狭く感じるリビングに、7人分のオーラが充満する。
「……」
もその雰囲気を感じ取り、リビングに面したキッチンの影に身を隠した。
「…――始めよう」
団長の声を筆頭に、全員が団長に飛び掛り――
数分後。
「…ふん、他愛無い」
無傷の団長を中心にして、その周りにはオレも含む全員が倒れていた。
「シャル…っ」
が心配そうな顔でオレの側に駆けてくる。
「…これで決まりだな。は蜘蛛に…」
「――ごめんなさい、私、本当は入る気無いんです」
「「「!!!」」」
全員が目を丸くして、を見つめる。
それは団長も同じ事で、目を見開いて驚いていた。
「私…何かに属するって、苦手で。
それに、群れてないと何もできない人達とは違うので。私は」
「「「!!!!!!;」」」
初めての毒舌を聞いた皆は、それこそ今まで見た事のないような顔で放心していた。
「……;」
オレは初めて会ったとき、一回聞いていたけど…久しぶりだ;
「お前…調子乗りすぎね」
の毒舌にキレたフェイタンは、一気にと距離をつめる。
「っ!!!」
オレが叫んだのと同時に、フェイタンの動きが止まった。
「何…っ」
「…私には、触れられませんよ?」
そう言って、人差し指で何かの形を宙に描くと、フェイタンの拘束は解けた。
「今の…何か」
「私の能力ですよ? …生き物の気脈を操る、特質の力です」
は不敵に微笑むと、またオレの側に戻り、オレの傷を癒してくれた。
「…そういう能力なんだ…」
「うん。だから、こうして傷も治せるの」
「ふ…ははははっ。…面白い、気に入ったぞ、」
団長は急に笑い出すと、改めての前に立ち、一礼した。
「今度は正式に申し込もう。オレの側に、蜘蛛としていてはくれないか?」
「嫌ですw」
速攻で言うに、団長は苦笑いしながら溜め息をついた。
「…そこまで言うなら仕方ない。…じゃぁ、せめてまだ気絶してるコイツ等だけでも治してくれないか?」
「…無理ですね☆」
「!;」
妙に明るく言う。
「私が治癒できる対象人物は、会ってから30分以内の人、もしくはその時間内に一度でも治癒した事のある人物。だからシャルの傷も治せたんですけど、もうその方々とは軽く一時間以上経っちゃってますから。
人の家荒らしたあげく勝手に気絶してるんですから、団体責任として団長自ら皆さんを頑張って起こして帰って下さいw」
「!!!!!;」
畳み掛けるような毒舌の波に流され、団長がしょぼくれた様子で皆を起こしていたのは言うまでも無い。
「…蜘蛛の団長って、もっとしっかりした人だと思ってたわ。
やっぱり私に神は必要無いって確認できたけど、幻滅しちゃった」
「幻、滅……っ」
その言葉が団長の最後の止めになり、その日から少しの間、団長は人間不信になった。
どんなも、
日々愛していきたいと…思ってますよ?;;;
end.