真夜中。
それは彼らの時間に、始まった。
<ロシアンダーツ>
「今日お前等に集まってもらったのは他でもない。――ゲームをしようと思ってな」
クロロは男メンバーを広場に集めて言った。
「ゲーム?」
「そこの布かけてある奴使うのか?」
フィンクスが指を指す先には、布のかけられた物体。
「そうだ。今日のゲームは――ダーツだ」
ばっさぁ!!!
クロロが布を取ると、そこには東京フ○ンドパークのようなダーツがっ!!
「…あれ? 団長、アレおかしくない? …5cmくらいの赤い線が一本と…後全部灰色だよ?」
シャルの指摘に、クロロは ふっと笑う。
「景品は、誰もが欲しがる物、一点だけだからな」
そう言うとクロロは背後から布袋を取り出し、開ける。
「今日はこれをかけて勝負だ」
「…う〜〜ん……;」
「「「「「って!!??;;;;」」」」」
布袋の中から現れたのは、手首を後ろでくくられ、目を回しているだった。
「だ、団長、何やって……;;」
「ん? ちょっとそこの廊下で手刀を……」
「「「「「おいおいおいおいおいっっっっ!!!;;;」」」」」
「不服か? 参加は自由だ。やめてもいいんだぞ?」
クロロは にやっと笑って言う。
参加を拒否する者など、この中にいるわけがない。
何故なら、は蜘蛛のアイドル的存在。マドンナ。
男どもは皆、が好きなのだ。
「おもしろそうだねぇ…w ボクは参加させてもらうよ☆」
「ワタシも出るよ」
「オレも出るぜぇ」
「オ、オレも出るっ!!」
次々と、オレもオレもと声が上がり、結局全員参加になった。
「では…回すぞ!!」
クロロの声を合図に、男達のダーツ大会は幕を開けた。
数分後。
(((((当たんねぇ……;;;)))))
「ふ、当たったのはオレだけか?」
誇らしげに腕を組んでクロロが言った。
他のメンバーときたら、
ウボォー:強く投げすぎて的を割ってしまう。
フェイタン:矢が何処に行ったか見つからない。
ノブナガ:何故か天井に刺さる。
ヒソカ:バンジーガム使用がバレ、失格。
フィンクス:ど真ん中で判定不能。
ボノ:グローブが外れなかったため悔しくも戦線離脱。
コルトピ:地面に落ち、落下地点に名前の書いたシールを張られる。
フランクリン:矢が持てない。(小さすぎて)
全・滅w
残るはシャル、一人だけだ。
「後はシャルだな…。シャルが当てられなかった場合、はオレの物だ」
クロロは笑みと共にプレッシャーをかけ、的を回し始めた。
(回転のスピードとタイミングを計算して…当たりの線が約5cmだから、正午の位置を通る時に投げれば……)
頭の中で計算をし、タイミングをうかがうシャル。
「!! 今だ!」
満を持して、シャルの手から矢が放たれた。
しかし、
「「「「「ええええぇぇぇぇぇ!!??」」」」」
矢は事もあろう事か、的の隣にいたの方向へ!
「っっ!!!」
シャルが叫んでも、は気を失ったまま起きない。
「ま、間に合わな……っ」
矢はの顔面に向けて一直線に飛び……
「はむっ」
「「「「「!!??;;;」」」」」
は口で、矢を受け止め(食べ)た。
「もご……ぷっ!!」
さすがに違和感を感じ、は矢を吹き出す。
とすっ。
そしてその矢は的に刺さった。
「さ、刺さった!?」
「どこに…… !!」
その矢はなんと――当たりの所に刺さっている。
「「「「「……………」」」」」
「…シャルの勝ちだな。……団長命令だっ」
クロロは悔しそうにその場を走り去った。
「ん……あれぇ…?」
あまりの騒がしさに、はやっと目を覚ました。
「ちっ、団長命令じゃしかたねぇ。シャル、説明してやれ」
ノブナガのキレ気味の声を筆頭に、団員はやれやれと自室に帰っていく。
まだ寝ぼけ気味のと、シャルだけがその場に残された。
「シャル……?」
「////////!!!」
うるうるした瞳で見つめられ、不正動脈を起こすシャル。
「どーしたの…?」
「あ〜//// あ、あのね?」
そして、シャルは事の成り行きを全て説明した。
「て、ワケなんだけど……//////」
「……あたし、シャルのモノ?」
「//////////!!!!」
再び上目使いで見られ、シャルはどきっとする。
「あ、あの……さえ良かったら……///////」
「……じゃぁ、あたしシャルのモノね」
「えっ//////////」
「今、夜中だよね……? おやすみ、シャル…w」
そのまま、はシャルにもたれて眠ってしまった。
「…………(かわいい……)////////////」
シャルはの寝顔をじっくり堪能した後、いそいそと自室へお持ち帰りしましたとさ。
end.