「…よし決めた!! 団長、プール行こう!!!」
それは彼女の独断で、
あっさり決まった。
<the 争奪戦>
「きゃーw きゃーッw すごいすごいすごいすっごぉぃ!!!!!」
「ッ、顔出したら危ないッ;」
眩しい太陽、青い空、そして特急列車。
何もかもが、には新鮮な出来事。
「だってホラッ、雲が掴めそうだよ!!」
必至に止めるシャルをよそ目に、は身を乗り出して手を仰ぐ。
その嬉しそうな様子に、男たちは見惚れていた。
今なら誰が見ても、彼等が蜘蛛だとは解らないだろう。
「ねぇねぇ団長ッ、これからプール行って、そこのホテルに一泊するんだよねッw」
急に振り返り、クロロの席まで駆けてくる。
「あ、あぁ。そうだな//////」
「あれ? 団長、顔赤いよ? この辺冷房効いてない?」
「いやっ、大丈夫だ。…気にするな」
「そう?」
はもう一度微笑むと、トランプをしていた女性陣の元へ駆けて行った。
「……//////」
「旅は、身も心も、開放的にする……か」
「だ、団長?;」
視線でを追っていたシャルに、団長が呟く。
「…シャル、勝負しないか?」
「勝負…?」
「との同室をかけて」
その言葉に、シャルは勿論、他の男たちも反応を示した。
「勝負は簡単、――ババ抜きだ」
クロロは懐からトランプを取り出す。
「あ、ソレ、ボクがなくしたトランプじゃないか☆」
「なくす方が悪い。…どうせお前等も参加するだろう?」
クロロが流した視線の先には、ヒソカを始め、今回の旅行に参加している男3人が微笑んでいた。
ヒソカ。
「モチロンやるよ☆ …同室って、何してもいいんだよね?」
フェイタン。
「一晩中アイツで遊ぶね。邪魔させないよ」
フィンクス。
「誰が勝っても、文句無しだぜ?」
「コイツらと、オレとお前の5人だ。…やるだろ?」
クロロは挑発するようにシャルを見る。
「…やるに決まってるでしょ」
シャルには――負けられない理由がある。
「あ、ババ抜き? あたしもやる!!!」
「「「「「!!!」」」」」
輪の中に顔を出したのは、。
「い、いや…は…なぁ?」
「そうそう☆ 女の子同士の会話でもしてきなよ♪」
「何ソレッ!! 酷い…」
しゅんとして拗ねているに、5人は可愛いと微笑みつつも、悪い気がしておろおろする。
「…、売店行こっか?」
行動を起こしたのはシャル。
「…うんッ! 皆はムサ苦しくババ抜きしてればいいじゃんっ」
シャルは軽く舌を出して笑い、車両を後にした。
「…ちっくしょー」
「シャル、いいとこ取りね」
「…この件は保留だな」
バトルはプールに持ち越しになった。
「プールだぁぁぁぁぁぁw」
ホテルに着いて速攻、着替えてプールに集合した一行。
「「「「「!!////// 」」」」」
「? 何?」
男たちの視線に気付き、は首を傾げた。
黒のビキニに包まれた白い肌…
男たちの我慢は結構限界に近いっぽい。
「、なんかいろいろあるけど…どれに行く?」
「ウォータースライダーとか……あ、あっちに水鉄砲もあるよ」
マチとシズクがに声をかける。
「うーん……競泳用プール行ってくるw」
「「「「「…競泳?」」」」」
「うん、ホラあっちw」
が指を差した先には、確かに競泳用プールがあった。あったが…
(((((こんなホテルの豪華プールに来てまで……可愛い!!!////// )))))
男たちは特に気にしてもいなかった。
「あー…; じゃぁ、あたしらこっちで遊んでるから…;」
女性陣はアトラクション系のプールに移動した。
「さてと……お? みんなも競泳行くの?」
の様子に見惚れていた男たちは、その場に立ち尽くしていた。
「あ、ああ//////」
「そう? じゃぁシャル、競争しようよ♪ 自由形で一本勝負!」
「うわっ//////」
はシャルの腕を掴むと、一目散に駆け出した。
「よーいどんッ…で、飛び込むんだよw」
お互い飛び込み台に立ち、プールを見つめた。
(流石に、には負けない…よね?;)
「いっくよー! よーい……どんっ!!」
の合図に、二人は飛び出す。
「!!」
横目で見たのスタートは、とても綺麗に決まっていて…
「「「「!!」」」」
プールサイドで見ていた他の三人も、目を疑っていた。
「げ、げほっ」
シャルは驚いてスタートをミスり、すぐに立ってしまった。
はというと…
「「「「「……って早!!!!;;;」」」」」
ありえないスピードでクロールを泳ぐ。
その手はすぐにゴールへと伸びた。
「…ふうっ」
「「「「「!!」」」」」
水面から顔を上げたは、何とも色っぽくて。
「…もう、シャルってば…泳がないと駄目じゃない!!」
振り返ったは怒ってシャルの所まで泳いできた。
「…次はこれで行くか」
クロロは急に発言すると、皆それをすぐに理解した。
プールのコース数は5本。
第二回、の同室争奪戦が始まろうとしていた。
「何? どしたの?」
「、ちょっとオレ達も競争するから、はスタートを頼んでいいか?」
「いいよw じゃぁ皆飛び込み台に行って!!」
の誘導で、全員が飛び込み準備をする。
1コース――クロロ
2コース――シャル
3コース――フェイタン
4コース――フィンクス
5コース――ヒソカ
「皆オッケー? じゃぁ行くよ……よーい………どんっ!!!」
その声に、全員が飛び出し――
「きゃーw 団長早ーい!!!」
「ははっ、これでも昔はよく泳いでいたものだ!! …って、ぶほ!!」
「団長、喋ってると水飲むよ」
隣のコースから水をかけるシャル。
は妨害行為に気付いていない。
「皆ーw 頑張れー!!」
そして勝負は――…
「いえーいっw 団長の勝利ー!!!」
「ま、負けた……」
「当たり前だ。長たる物、つねにトップでいなければ」
優雅に微笑むクロロに、シャルたちが殺意を覚えたのは言うまでも無い。
「…そろそろ日が落ちそうだねェ。ホテルに帰ろっか」
「そうだな」
さりげなくの隣に立つクロロ。
「ちなみに部屋は2人1部屋だ。、オレと一緒に…」
「じゃぁシャル、一緒に泊まろうねw」
「え…っ;」
クロロの腕をするりと抜ける。
「ちょ、ちょっと待て。…? 実はさっきの勝負はな? お前との同室をかけて…」
「えー…そんなの知んないよぉ。だってあたしシャルと付き合ってるし」
「「「「……は!!??」」」」
「じ、実は……そういう事なんで…」
気まずそうに微笑むシャル。
「シャル…これはどういう事だ?」
「説明して欲しいところだねェ…☆」
「い、いやっ、だって皆聞く耳持たずって感じだったしっ」
「…説明になてないね」
「これは体に直接聞くしかないな」
指をぽきぽきと鳴らすフィンクス。
「なっ……フィンクス…そっちの趣味あったんだ……」
「そっ、そういう意味じゃねェ!!!; 拳でって事だよ!!!;」
はどん引きした顔でフィンクスを見つめた。
「…もういいや。行こっ、シャル!」
「う、うん…じゃぁ」
二人は早足でホテルへと駆けて行った。
「なぁ、オレ達すっげー惨めじゃねぇ?」
「言うなフィンクス」
「…むしろワタシはフィンクスに引いたね」
「ボクはオールラウンドだけどね?」
「だから誤解だっつってんだろ!!; ってヒソカ! 妖しい笑いでこっち見るんじゃねぇ!!!!;」
そして当然のごとく、
とシャルの邪魔をするように、二人の部屋は宴会部屋と化すのだった。
end.