初めて孤独を知ったのは、








独りだった時より、
















寧ろ、




















貴方に出会ってから、だったのかもしれない。

































、泡沫に広げ

































全てを失う事に恐れなど在りません。


ただ、もしも私に迷いが在るとしたなら――


貴方に出会えたのは、本当に最善だったのか、と。









今も胸に残る疑問を吐き出す事もできず、



今宵も、疎ましいその微笑と声は、私を闇へと誘います。










「おいでw ――













ああ、嘆かわしい。


この男は何を考え生きているのか。


そしてこの男に流されてしまう私もまた、なんと愚かな事でしょう。













、どうしたんだい? 早く来てくれないと…食べちゃうよ?」





「…汚らわしい想像はお止め下さいませ。私はそのように遠くから呼んで走り寄るような忠犬では御座いません。


この際、その浅はかな考えと一緒に貴方も川に沈めて差し上げましょうか?








男は笑いながらため息を着きます。


深刻な顔でため息を着きたいのは私の方です。








「それは…ボクが悪かったね☆」







男はゆっくり、月明かりの中で私と距離を縮めます。


すぐ目の前まで来ると、手を差し出しました。












「…行こうかw」










「…はい、兄上」


















私達は手を繋ぎ、夜の道を進みました。


行方は知らされていません。


それでも恐怖が生まれなかったのは…










血の繋がらぬ兄の表情が、常に微笑んでいてくれるからなのかもしれません――。















「朝までに目的地には着くご予定ですか?」


「着くかな? 着かないかな? はどっちだと思うんだい?」


「質問を質問で返す貴方を気に食わなく存じ申し上げます」


「相変わらずだねぇ…何だかキミに罵られるの楽しくなってきたよ☆」


「私は心労募るばかりですが」


「ひどいなぁw」







言葉とは裏腹な表情をする貴方。


正直、気持ち悪いです。


それを言うと喜びそうなので口にはしませんが。





何故でしょう、この上無く、私は安らぎを感じているのです。







「……在り得ませんね」





私は兄の手を振り払うと、一歩前で歩きます。


兄は何も言わず、私の一歩後ろに着いてきているようです。


やはり、何を考えているのか…理解に苦しみます。












、そんなに足出して寒くないかい?」


「仮にも今は夏です。私は何とも。…それより貴方の服装が暑苦しくて見苦しいです」






道化の衣装のような貴方。


人の美的感覚に口を挟む性質ではありませんが、些か隣にいるのは抵抗があります。






「普段、街中でもそのようなお姿で?」


「んー、だいたいねw」








信じられません。


これから人里も歩くというのに…私の隣には奇人が常に付きまとうというのですか。










「それで、結局どちらへ向かわれるのですか」


「そうだねぇ…――仲間の所、かな?」


「…貴方にお仲間がいるとは到底思えません」


「どういう意味だい? やっぱりひどいなぁ…w」







貴方のお仲間が、少しでも常識を理解している方々なら良いのですが。


早く普通の人間にお会いしたい、いや、この際人語を理解する者なら何だっていい。








その時の私は、そんな事を考えていました。












「走ったほうが速いと存じますが」



「のんびり行けばいいよ☆」







私は着物を翻し、一人、夜の道を走ります。


少し遅れて、兄の気配も続きます。














今、私の旅が始まろうとしていました―――――