はらはらと、長い黒髪が地面に落ちていく。



あんなにも長かった、自慢の髪を。









切って、切って、切って、








そして、前を見据える視線。



あんなにも熱い瞳を見たことは、無かった。




























































< キミの決意。私の誓い。 >




































































亮君が、正レギュラーに戻れることになった。


長かった髪をばっさりと切って、長太郎君が頭をさげてくれて、跡部部長が口ぞえしてくれて、榊監督が認めて。






「やったな宍戸!」


「宍戸さん、これから宜しくお願いします」


「ああ…みんな、ありがとな」






シングルスは枠が無くてなれなかったけど、鳳君とダブルスを組むことになったみたい。


みんなの嬉しそうな様子を見届けてから、私はマネージャー業務に取り掛かった。


亮君への『おめでとう』は、ひとまず後。みんなそろそろ練習を始めるだろうし、帰りにでも言えるしね。







「えぇっと……とりあえずスコア表取りに行かなきゃ…」







スコア表は、練習試合の結果をメモするノートの事。


部室に置いてあるから、みんなのタオルも一緒に取ってこよう。


そう思って、私はコートを後にした。







「………あれ?」






部室に行くまでの道―――亮君がレギュラー復帰を頼んでいた道に、何かが落ちてある。


私は小走りで近づき、それを見下ろした。






髪だ。さっき、亮君が切った髪。






「……もう、ちゃんと片付けなきゃ駄目じゃない…」






その場にしゃがみこみ、一房一房拾っていく。


亮君が大事にしていた、私も大好きだった、髪を。







「……………」






綺麗な髪だったな。いつも私、自分と比べてため息ついてた。


でも亮君は、私のクセっ毛が好きって言ってくれたよね。すごく、嬉しかった。





たまに、私が毛先を整えてあげたよね。…今日からはもう、必要ないね。


せっかく伸ばした髪だったけど…レギュラー、戻れたもんね…良かった、よね……?






「………っ…」






急に、涙腺が緩んだ。


何だか、言いようの無い気持ちでいっぱいになって……。







駄目だ、私、きっとこのままじゃちゃんと祝ってあげられない。







「……?」


「!!」






振り返ると、そこには、






「亮、君……?」


「ってお前、何でそんな泣きそうな顔……  !」






亮君は、私の手の中にあるそれを見た。


少しだけ反応した後、すぐに、私に笑顔を向けてくれた。






「ばーか。…何お前が泣きそうんなってんだよ」


「だって……っ」


「いいんだよ、これで。俺は何も後悔してねぇよ」


「本当に…?」


「ああ」







そう言われて私は少し気持ちが軽くなった。


だけど、やっぱりすっきりはしなくて。






「……でも、どうしてここに…」


「試合、俺らの番までロードワークしようと思ってよ」


「そう……」


「…なぁ、


「え?」


「…ちょっと、着いてきてくれるか?」







そう言って、返事も聞かない内に私の手を引いて歩き出す亮君。


…なんだろう、髪の毛切って雰囲気が変わったからかな。ドキドキする。

































































「ちょ、ちょっと、亮君っ?」


「……ああ?」


「これ、まさか…」






亮君に連れて来られたのは、校舎裏のゴミ捨て場横。


そう、―――焼却炉。







「ね、ねぇ待って…まさか」







亮君は無言で焼却炉の蓋を開ける。


ごうごうと、赤い炎が火の粉を吹いた。






「ほれ、それ貸せ」


「りょ、亮君っ!?」






私が握っていた髪の毛を奪い取り、亮君はためらいもせずそれを、



投げ入れた。






「……っ…!!」






どんどん燃えて、すぐに、消えてしまう髪の毛。






「何、して……」


「これで、いいんだよ。…ケジメだケジメ」


「でもっ…」


「もう切っちまったんだ。戻らねぇもんいつまでも持っててもしょうがないだろ?」







そう言う亮君の横顔は、


いつもと違っていて、






「…………」






何かを堪えている顔。


…泣くのかな。


亮君は、泣かないだろうけど。


………けど…。






「!」





気づいたら、私は亮君の手を握っていた。


いつの間にか手は震えていて、目からは涙が滲んできて。


…本当に私、馬鹿だ。







「…だから、なんでお前が泣くんだよ」






ほら、亮君も笑ってる。


やだな…恥ずかしい…。






「…有難うな」


「……たぃ…っ…」


「え?」








「絶対…全国、行ってよ……それで…頂上に立って…!! じゃなきゃ…じゃなきゃ許さないんだから…っ…!!」







声を絞り出すように言う私。少し裏返った声が出て、かぁっと顔を赤らめる。







「…ばーか」


「なっ…馬鹿ってなん……  !!」







亮君は、そんな私を後ろから抱きしめた。






「お前も一緒に行くんだよ。…俺たちと一緒に、お前も全国に行くんだ。


 ……俺がを必ず連れてってやる。頂上に、な」






すっぽりと、腕の中に包まれながら、






「約束…だよ…?」


「ああ」






私は、全力で亮君をサポートすると、誓った。




亮君が、過去の自分を焼き払った、この場所で。

















































































end.




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とか言ってどーせ青学が優勝しちゃうんだ。(#`з´)


だってやつらは主役だもの!!!(笑)


というわけで亮君は約束守れませんww この女泣かせ!!((ォィ




友達がカラオケで亮君のキャラソンを歌ったときに思いついたネタです。


毎度の事ながら駄文でスイマセorz      拝。